沖縄科学技術大学院大学学位記授与式
沖縄科学技術大学院大学とは
沖縄科学技術大学院大学は、世界の50を超える国と地域からの教職員・学生が集う国際色豊かな大学院大学であり、教員の 6 割以上が海外出身者です。学内の公用語は英語で、世界の学術界、産業界で活躍できる卓越した若き科学者を輩出することを目指しています。また、従来の大学に見られる学部間の壁を取り払い、教員や研究員、学生間で発想や知識、研究手法や経験を共有することにより、知の創出を図ることに尽力しています。実際、異分野の科学者たちが各々の専門性をもって協働することにより、新たな研究領域が生まれています。
さらに、研究成果を迅速かつ効果的に、産業界およびベンチャー企業へ技術移転し、実用化につなげるため、沖縄県および産業界との緊密な連携を図り、先端技術産業を主体とした、地域における自立的経済発展に寄与することを目指しています。このような大学院大学を擁する沖縄は、今や科学技術の一拠点として世界的に認知され始めています。
アカデミックローブ
アカデミックローブと呼ばれる式服は、ヨーロッパで大学が誕生した時代に遡る長い歴史をもつ伝統です。当初、学生や教授らが制服として着用したものでしたが、近年では大学で執り行われる式典などの正式な場でのみ見られるようになりました。
OIST初の学位記授与式以来使っているOISTアカデミックローブは、すべて学生によるデザインで、OISTカラーである赤、白、黒を取り入れた仕上がりになっています。背中にかかる部分であるフードは卒業生のみが着用することができます。地元で製作されたグーシ花技法を用いたミンサー織りの生地を使用し、これも同様に赤、白、そして黒でOISTカラーを表現しています。帯地のデザインには、地元に代々伝わる「縁起」の意味を持つ模様の中に、金運と招福を意味する「金花(ジンバナ)」、長寿を意味する「風車花(カジマヤーバナ)」に加え、科学を象徴する正弦波を織り込みました。
帯地には、手染めの施された綿糸が使用され、読谷山花織事業協同組合で読谷山花織の伝統を守る我喜屋氏により、心を込めて手織りされています。この度、アカデミックローブ製作にご協力いただきましたことに心より御礼申し上げます。
プログラム
2022年5月20日 金曜日 2:00PM~4:00PM
OIST 内講堂
13:30
- 開場
14:00
- 開式・前奏
14:15
- 開式の挨拶 OIST 学長 ピーター・グルース
14:25
- 沖縄県代表挨拶
14:30
- 内閣府代表挨拶
14:35
- 祝辞
14:55
- 名誉学位授与
15:10
- 学位記授与 OIST研究科長 ウルフ・スコグランド教授
15:45
- ピーター・グルース最優秀博士論文賞
15:55
- 修了生代表答辞
16:00
- 閉式の挨拶
- 告辞・後奏
- 退場後閉式
祝辞
ジェームス比嘉
ジェームス比嘉氏は沖縄出身で、米国パロアルトで教育を受けた。シリコンバレーにおいて長く輝かしいキャリアを持つ。アップルでは故スティーブ・ジョブズ氏の直下で、テクノロジーと消費財産業の在り方を変えるために活躍。Macintosh開発のオリジナルメンバーでもある。氏のiTunesの交渉と立ち上げの仕事は、音楽業界を一変した。 また、オフライン・ベンチャー社の経営パートナーとしてシリコンバレーで活躍。アーリーステージの投資先企業には、Slack、Clubhouse、Notion、Blue Bottle Coffeeなどがある。ファーストリテイリング、Airbnb、シーメンス、ローソンなど世界中の企業で顧問を務める。
米国オークランドの非営利コミュニティ財団、フィランソロピック・ベンチャーズ・ファンデーションのエグゼクティブ・ディレクターも務める。1995年の阪神淡路大震災や2011年の東日本大震災では、現地でボランティア活動に従事し、アップルジャパンやネクストジャパンを設立するなど日本とも深いつながりを持つ。
1981年、スタンフォード大学で政治学の学士号を取得。米国オリンピック・パラリンピック委員会理事、スタンフォード大学図書館・学術情報リソース諮問委員、米日カウンシル理事 、シリコンバレー・ジャパン・プラットフォームのエグゼクティブ・コミッティー、大学院大学至善館評議員、沖縄科学技術大学院大学理事会副議長を務める。また、グラミーファンデーションMusiCares 理事、スタンフォード大学ハースセンター米国諮問員会理事、スタンフォード大学同窓会理事も歴任した。
写真撮影: Chris Michel
講演者
アントン・ツァイリンガー博士
1945年、オーストリア生まれ。1971年、ウィーン大学で博士号取得。ウィーン工科大学のヘルムート・ラウチ博士とMITのクリフォード・G・シャル博士(1994年ノーベル賞受賞)のもとで、量子情報科学の先駆的技術である中性子干渉計の研究に従事した。グルノーブルにあるラウエ・ランジュバン研究所、コレージュ・ド・フランス、オックスフォード大学、ミュンヘン工科大学、ベルリン・フンボルト大学などで客員教授を務めた。1990年にインスブルック大学、1999年にウィーン大学で実験物理学の教授に就任。
現在、ウィーン大学名誉教授、ウィーンにある量子光学・量子情報研究所(IQOQI Vienna)の上級研究員として、大学院生やポスドクのグループとの研究にいそしむ。博士は、エンタングルメントに重点を置いた量子力学の基礎に常に深い関心を寄せ、グリーンバーガーやホーンとともに、多粒子間エンタングルメント(GHZ状態)を開拓、さらには一般化させ、多くの量子情報および量子計算の課題に必要不可欠なものとなった。応用面では、光子を用いた基本的な量子計算ゲートや手順の実現、エンタングルメントを用いた量子暗号、ドナウ川を渡る長距離量子通信、カナリア諸島間や衛星を介した量子通信等を、教え子の潘建偉(パン・ジエンウェイ)博士と共同で実現。最近では、遠方クエーサーをランダムネスの源として用い、ベルの不等式の検証も行っている。
受賞歴には、ウルフ物理学賞、アイザック・ニュートン記念メダル、ミシウス量子賞、墨子量子賞(日本)などがある。博士は多くの科学アカデミーのメンバーであり、名誉教授や名誉博士号も複数授与されている。
鈴木 裕香
鈴木博士は東京で育った後、お茶の水女子大学で生物学を学び、最終学年のプロジェクトとしてタンパク質のコンフォメーションを研究し理学士号を取得。その後、2015年9月にOIST博士課程に入学。
生物多様性・生体複雑性ユニットに所属し、Evan P. Economo教授の指導の下、博士論文プロジェクトを実施。主な研究は、空間構造が生態学的パターンとダイナミクスに与える影響の理解。日本学術振興会の特別研究員(DC2)に採用されている。
現在は、フランスのパスツール研究所の統計遺伝学グループで、ヒトの形質に関わる複雑な遺伝的基盤を理解するための研究を行っている。プライベートでは、フランス文化や料理を探求することを楽しむ。特に、パン屋に並ぶバラエティに富んだ芸術的なデザートを発見することが大きな楽しみである。時折、沖縄ののどかで美しい景色を思い出し故郷に思いを馳せる。
修了生
-
マイ オマー アブドゥルラーマン アーメッド
指導教員:
政井 一郎研究ユニット:
神経発生ユニット学位論文:
ゼブラフィッシュ網膜神経節細胞の生存維持と神経回路形成におけるStrip1の機能解析 -
スワティ バブ
指導教員:
政井 一郎研究ユニット:
神経発生ユニット学位論文:
ゼブラフィッシュ網膜においてBanpはDNA損傷応答と染色体分離を制御することで、細胞周期の進行と細胞生存を促進する。 -
ジギャーサ アロラ
指導教員:
トマ・ブーギニョン研究ユニット:
進化ゲノミクスユニット学位論文:
シロアリ腸内微生物叢の機能メタゲノミクスと進化 -
モヒエルディン マグディ マームッド ヨーセフ
指導教員:
山本 雅研究ユニット:
細胞シグナルユニット学位論文:
脳におけるTOB (Transducer of Erbb2) 遺伝子の機能解明:心理的ストレスの分子機構の洞察 -
ラリッサ シェロウコヴァ
指導教員:
渡辺 寛研究ユニット:
進化神経生物学ユニット学位論文:
祖先的グリア細胞の分子解剖 -
シュンウ フ
指導教員:
イェ・ジャン研究ユニット:
生体模倣ソフトマターユニット学位論文:
合成自己組織化材料を介したメカノトランスダクションの調節 -
エヴロピ トゥルケリドゥ
指導教員:
エヴァン・エコノモ研究ユニット:
生物多様性・複雑性研究ユニット学位論文:
深層学習によるマイクロCT画像の自動セグメンテーションとその比較形態学への応用 -
平良 正和
指導教員:
銅谷 賢治研究ユニット:
神経計算ユニット学位論文:
報酬に基づく行動におけるセロトニンの制御に関する研究 -
鈴木 裕香
指導教員:
エヴァン・エコノモ研究ユニット:
生物多様性・複雑性研究ユニット学位論文:
メタ群集における分散ネットワーク構造が多様性パターンと安定性に与える影響 -
メンリン ワン
指導教員:
トマ・ブーギニョン研究ユニット:
進化ゲノミクスユニット学位論文:
シロアリにおける世界的規模の歴史生物地理学 -
アイバン ンボゴ
指導教員:
渡邉 寛研究ユニット:
進化神経生物学ユニット学位論文:
後生動物のベータカテニン多機能化の進化に関する研究 -
ポー シュン チャン
指導教員:
御手洗 哲司研究ユニット:
海洋生態物理学ユニット学位論文:
ポリプからコロニーまで:ポリプを用いたサンゴのコロニー機能研究 -
シェ ツン ハン
指導教員:
石川 裕規研究ユニット:
免疫シグナルユニット学位論文:
CD4+T細胞におけるAP-1転写因子JunBの役割を解明 -
ツァオ ドン
指導教員:
丸山 一郎研究ユニット:
情報処理生物学ユニット学位論文:
線虫C. elegansにおける環状RNA生成のシスおよびトランスエレメントによる調節の研究 -
ペレス ウルキソ ホエル
指導教員:
ダニ・ケシャヴ研究ユニット:
フェムト秒分光法ユニット学位論文:
集積ビーム制御を備えたパッチアンテナマイクロキャビティレーザー -
リ クン ロン
指導教員:
渡邉 寛研究ユニット:
進化神経生物学ユニット学位論文:
被嚢動物のゲノムに水平転移したグリコシルヒドラーゼファミリー6遺伝子の研究 -
トマス アンドレアス
指導教員:
ニック・シャノン研究ユニット:
量子理論ユニット学位論文:
フラストレート磁性体のバンド型励起のトポロジーとその実験的特徴 -
ロバート ボール ジェイソン
指導教員:
コンスタンチノフ・デニス研究ユニット:
量子ダイナミクスユニット学位論文:
マイクロ波量子技術に向けたダイヤモンド不純物中心の探求 -
ジャムシェイド アフシャン
指導教員:
チー・ヤビン研究ユニット:
エネルギー材料と表面科学ユニット学位論文:
走査型プローブ顕微鏡を用いた金属ハロゲン化物ペロブスカイト型材料の研究